宇川もペースを上げ、中野のすぐ後ろまで迫って来ている。気合の男・宇川が中野に牙を剥く!8周目のバックストレートで中野をパスした宇川だが、中野がすぐに抜き返すバトルが続く。日本人の駆る3台がTOP集団を形成してレースが展開されて行く。大治郎は先頭に立ってからも、集中を切らさず冷静にラインをトレースして行く。執拗に背後からプレッシャーをかけられて続く真剣勝負。固唾を飲んで見守る。
一見、淡々と周回を重ねているように見える硬直状態もラップタイムが2分8秒台というギリギリの攻めぎ合いである事がレースの行方を分からなくしている。緊張感が身を引き締める。マシンの挙動には表れないタフな精神戦の様相を呈しており、集中力が途切れた時、それは負けを意味する。HONDAやYAMAHAのピットが頻繁にモニターに映し出される・・・。
4番手を走るジャックを大きく引き離し、ハイスピードでリードするTOP3台はコーナー毎にそれぞれのセッティング特性を生かしたコーナリングでテールトゥーノーズの接近戦を展開。限界ギリギリの攻防なのだが、お互いにフェアな戦いで観ている者の心を熱くさせる。これぞ、世界選手権という名勝負となっている。
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