![]() |
![]() Qualifying Session 2 Special Report 3 WGP 世界ロードレース選手権第3戦 Marlboro Grand Prix of Japan 鈴鹿サーキット(日本) |
![]() タイムが公式に記録されるセッション・公式予選2日目がいよいよスタート。
モニターには公式予選1日目の順位が表示されている。アクシデントが起きる前の序盤5周目に記録したタイムで2番手のポジションに着けている。 コースオープンで各マシンが一斉に飛び出す。60分間の公式セッションの始まりだ。午前よりも風は弱まり、路面温度も上がってきているので何とかタイムアップを図りたいところだ。数周して戻った大治郎はマシンを一旦ピットに入れマシンを下りる。メカニックとの打合わせを終えて、もう1台のNSRに乗り換えて再びコースイン。ピットでは最初のマシンを大幅に調整している。すごくいいセッティングが出ていたという昨日のマシンストップもあり、慎重且つ冷静に対応するチーム。「うちは最後の10分からが本番」と語るメカニックの言葉に自信を感じる。
思ったよりも各ライダー共タイムが上がって来ない…。セッションも半分が過ぎた頃、タイムが動く。積極的に周回を重ねていたライバルであるYAMAHAが中野タイムを更新して2番手に浮上、2分9秒を切って来た。大治郎のタイムは9秒0台のまま。区間タイムではそれぞれタイムを更新して行くが、トータルタイムでタイムが更新されてこない。そんな中、ワークスマシンの間に入って、YAMAHA・TZを駆るライダーが活躍。松戸直樹も地元GPへの想いや昨年度全日本チャンピオンとしての意地を見せる快走。大崎もコーナリングスピードでタイムを詰める。 2台のマシンを乗り比べ、仕様の異なるセッティングを施したNSRの中で1号車にニュータイヤを装着し、大治郎がアタックラップに入る。前日は、中々クリアラップがとれず歯車が噛み合わなかった感のあった予選であっただけに、今度は挽回したい所だ。トップは宇川の2分8秒916。大治郎がアタックに入る。今回、オンボードカメラを積んでいるため、大治郎の視線でライディングが体感出来る。前半で自己ベストを上回わり、期待がかかる。ピットではスタッフがモニターに釘付けになっている。130Rを通過し高速からのブレーキングにマシンカウルが震える。シケインを立ち上がり最終コーナーの下りを加速させて行く。大幅にタイムを短縮した2分8秒500でTOPに立つ。 この様子をピットで見つめていた宇川の驚く表情をモニターが映し出す。すかさず同じくNSRを発進させる宇川が大治郎の出したタイムに挑む。と、モニター上に大きくマシンが転倒してコースアウトして行くシーンが映し出される。何と宇川であった。まだタイヤが完全に暖まらない状況での出来事にピットがざわめく。焦ってしまったのかもしれない。ワイルドカード出場の大崎がTZを駆り2分9秒を切って来た。これは驚異的なライディングである。
残り時間あと僅かで大治郎はピットイン。タイヤをハイグリップな新品に換え、最後のタイムアタックへ。 1周でタイヤを暖めて、残り1周でチェッカーフラッグが振られるというラストチャンスに大治郎は魅せてくれた。全開から1コーナーへスムースに入り、モニター画面はオンボードカメラへ。路面の凹凸を小刻みに拾いながらアクセルを開けて行く大治郎のライディングに場内が息を呑む。区間タイム前半で大きくベストタイムを上回り、場内アナウンスでも2分8秒台前半の期待がかかると実況される。チームAXO・HONDA・GRESINIのピットでは、祈るような気持ちで大治郎の走りを見つめる。「GO!DAIJIRO!GO!」と声が出る。シケイン手前のフルブレーキングもスムースで流れるようなシケインの切り返しに、手に汗握る。マシンが立ち上がりフル加速でコントロールラインを通過して行く。「7秒〜〜〜〜〜台!!!!」場内アナウンスの興奮とピットの歓声が共鳴してスタンドからもどよめきが起こる。250ccクラスとしては史上初の7秒台に公式予選終了が告げられ、ぶっちぎりのポールポジションを大治郎が獲得した。鳥肌の立つ素晴らしい瞬間をチームのピットで体感できた事を幸せに思う。それにしても…恐れ入りました。
メカニック達の努力が報われた瞬間でもあり、スタッフ同士の握手に観客は拍手で称える。チームに名誉をもたらした大治郎を大勢の報道陣が取り囲む。 フロントローインタビューの席上で、大治郎は「昨日の転倒があったので、午前はまず様子をみて、午後の予選も徐々にタイムアップを狙った」と。そして、「決勝は、ライバル達も手強いが自分のライディングをするだけ。出来れば勝ちたい」と淡々と語った。
|