Qualifying Session 2
Special Report 1

WGP 世界ロードレース選手権第3戦
Marlboro Grand Prix of Japan
鈴鹿サーキット(日本)


鈴鹿サーキットは海に近く、浜風が吹く。しかし、それはライダーにとって必ずしも爽やかなものではない。様々な影響を与える気まぐれな風が20世紀最後の日本GPにどのようなドラマをもたらすのか・・・。マシントラブル、転倒といった大治郎にとっては波乱の予選初日を2日目の今日に挽回すべく、メカニックをはじめとしたスタッフ達が深夜に及ぶ修復作業を行なった。2台のNSRを台に乗せピット内で黙々と作業を続けるチーム・グレッシーニのクルー達。予約をしていたレストランをもキャンセルし、夕飯も食べず大治郎が乗るマシンを整備する姿をみているとその働きが報われて欲しいと願う。

心配された大治郎の体調は、朝の元気な登場でスタッフを安心させるものだった。「昨日の痛みはどう?」と尋ねると「氷で冷やしたのが良かったみたいで、夜は痛かったけど今はかなり痛みが和らいだ」と表情も明るい。トレーナーのチェックを受け、問題ないとの判断でピットにも活気が漲る。
グレッシーニ監督の「ゲンキデスカ?」に「Si Si」と答える大治郎に場が和む。気負いはない。


迎えた2日目午前のフリー走行、ピットには出番を待つ2台のNSRとチームメイトのTSR1台がライダーの登場を待っている。ハードワークをこなすメカニック達も、準備に余念が無い。
時間直前までトレーナーのマッサージを受け、ライディングスーツに着替える頃、サーキットは強い風で体感温度は"寒い"くらいだった。土曜日ということもあり、大勢のファンが大治郎を応援してくれる。スタンドに貼られた横断幕をイタリアンチームは理解している。そして、チームへの応援が多い事にも"アリガトウ"を感じている。言葉だけではない関係がライダーを支える。
このホームページの基地もチームグレッシーニの控え室に設置されており、毎日更新内容がチーム内のリリースとして監督をはじめ、スタッフ達にも伝えられている。迅速な情報と自分達チームのドキュメンタリーとしての情報を興味深げに楽しんでいる。


スウィートと呼ばれる控え室のドアを大治郎が開けた時から瞬間から、今日の戦いへと気持ちが引き締まる。やや足を引きずりながらピットに向かう大治郎を多くの瞳が心配そうに見つめる。
ピットに入りチーフメカニックの田川さんと今日の予選までの流れを打ち合わす。基本的に体がレーシングスピードでの反応に対応出来るか、改めて修復したマシンの慣らし走行、など確認事項を含めて午前のフリー走行はタイムアタックを目的としなかった。まるで何事もなかったかのように美しく輝くNSRをピットレーンに準備し、エンジンに火をいれるメカニック。軽く屈伸をしてヘルメットを被り、グローブを着ける姿を多くのカメラが撮影している。この日本GPで大きな鍵を握る大治郎の転倒の影響は?




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