FIMロードレース世界選手権MotoGP日本グランプリにおいて2003年から「ノリック・大治郎シート」(以下:大治郎シート)の運営をしてきた有限会社デルタ・エンタープライズ(代表:加藤 隆 以下:デルタ)は、一昨年(2019年)の開催を最後に大治郎シートの終了を決定しました。
大治郎シートは2003年4月にレース中の事故で亡くなったMotoGPライダー加藤大治郎選手が生前に語っていた“子供たちにレースの魅力を伝えたい”という遺志を引き継ぐ形で企画をスタート。ポケットバイクレース「Daijiro Cup(2003年スタート)」やスーパーミニバイク「74Daijiro(2004年販売開始)」とともに、2003年10月に栃木県にあるツインリンクもてぎで開催されたFIMロードレース世界選手権MotoGP日本グランプリにおいて第1回を開催しました。その後、加藤大治郎選手の幼馴染で2007年に不慮の事故で亡くなったMotoGPライダー阿部典史選手の愛称を名称に加えて2008年より現在の「ノリック・大治郎シート」として、これまでに全16回の開催してきました。
大治郎シートは2003年の5月に加藤選手の父でデルタ代表の加藤 隆が、イタリアのムジェロサーキットを訪れた際、ファンがビッグフラッグパフォーマンスで応援する姿を見て“日本でも、あんなパフォーマンスができないか”という考えに、当時、加藤選手の所属していたチーム監督のファウスト・グレシーニ氏(以下:グレシーニ)や同行したHonda関係者が賛同。加藤 隆とグレシーニが共同発起人となって大治郎シートの企画をスタート。㈱モビリティランドの協力を得ながら、子供用チケットや大治郎Tシャツの無償配布に加え、日本グランプリでは初となるビッグフラッグパフォーマンス(第1回はパネルパフォーマンス)を実施。観客席に元グランプリライダーをゲストに招くなど、子供たちにレースの魅力を幅広く伝えてきました。
この大治郎シートでMotoGPを観戦した子供たちからは、現在MotoGPのMoto2クラスに参戦している小椋 藍選手をはじめ、イギリス選手権に参戦している水野 凉選手など、数多くのライダーが各カテゴリーで目標達成を目指して活躍しています。
今回、大治郎シートを終了するに至った理由は、2月23日に大治郎シートの共同発起人であるグレシーニ逝去の報を受けてです。多くの方々から毎年大治郎シートの開催を要望いただき、主催者も開催を企画しておりました。しかし、主催者としてはグレシーニのいない大治郎シート開催を想像できませんでした。また、各メーカーによるビッグフラッグパフォーマンスや現役ライダーの応援席など、日本グランプリにおける環境も大きく進化し、大治郎シートが掲げた当初の目的も達成したと考え、今回の決断に至りました。ご参加を予定されていた方々や協力をいただいていた方々には大変申し訳ありませんが、ご理解いただければ幸いです。
(有) デルタ・エンタープライズ代表 加藤 隆のコメント
「多くの方々に参加や協力をいただいて実施してきた大治郎シートですが、2月のファウストの訃報が届いて、今回の決断に至りました。私自身、グレシーニのいない大治郎シートを想像することができませんでした。グレシーニは毎年、決勝レースの合間という非常に忙しいタイミングにも関わらず、私との約束を守って必ず大治郎シートに駆けつけてくれ、16年間も続けることができました。その間に、日本グランプリも様々な進化を遂げたと思います。今年の開催を楽しみにしていただいていた方々には大変申し訳ありませんが、ご理解をいただければ幸いです。最後に、カルロ・メルディーニ氏(チーム・グレシーニ)をはじめとした大治郎シートをサポートいただいた多くの方々に感謝を申し上げるとともに、参加いただいた多くの方々にお礼を申し上げます。16年間、本当にありがとうございました。」